ナルシヴァル達は山脈3階を探索したが、中央部への進入路を見出せず、仕方なくエレベーターでこの広いドーム状の空間が広がる山脈4階まで登って来たところだった。広い床のあちこちに穴が点在しており、そのいくつかは墜ちるとダメージを受けるだけのピットだが階下まで落ちてしまうシュートもある。山脈3階の中央部にはこれらのシュートを使って降りることが出来るようだ。LITOFEITを唱えている間は落ちることはないので、予めそれぞれの穴がピットかシュートかを地図に書き記し、後でLITOFEITを解除してシュートだけに落ちてみるという方針を建てた。しかし、この広大なドームにも所々魔物が出現するポイントが点在するためそう簡単には探索は進まない。しかもこのフロアに出現する魔物はさらに凶悪さを増している。
何度か危ないところでルビーのスリッパで逃げ帰っているうちに商店のルビーのスリッパの在庫は尽きてしまった。当然のようにナルシヴァルとグレッグのLOKTOFEITも忘却済みだ。ルビーのスリッパを仕入れるために何度か南の洞窟へも足を伸ばしてはいるが、欲しい時ほどルビーのスリッパは出ない。
突然、目の前に炎が立ち上り巨大な姿が行く手に立ちふさがった。その足元には無数の眼が這い回っている。ファイアージャイアントとブロブアイの集団だ。この山脈4階でも最強最悪の魔物集団に遭遇してしまったと言ってもいい。ナルシヴァル達はわき目も振らずに逃げ出した。逃走に成功したのは僥倖と言わざるを得ない。
「恐ろしいな…。あのブロブアイにファイアージャイアントまでというのは。」とナルシヴァルがつぶやく。
「ファイアージャイアントのブレスをまともに受けたらレダとバイロンは持たないでしょうね」とタケルフがそれに答えた。
「幸い今は逃走には成功したが、逃げ遅れたらまたこの間のように…。」
「もはや出会わないよう祈るしか手はないでしょう。」
運を天に任せての探索が続く。マカラとサッキュバスというこのフロアでは比較的与し易い魔物を倒したところ宝箱が出た。ホビット盗賊のレダが早速罠を調べ始めた。
「テレポーターっぽいね。」
「まぁ、飛ばされたとしてもこのフロアならどこへ飛んでも直ぐ戻れるな。」
「中央の岩の柱の中だったら?」
「さっきのCALKOによるとあの内部には空間があるみたい。」
「それなら寧ろこの正解シュート探しをショートカットできるかもしれん。」
「でも、わざと引っかかるってのはちょっと…。」
「それもそうだ。普通に解除してくれ。」
「じゃ、いくよ。」
カチリという音とともに宝箱の蓋が開く。それと同時に目の前の空間に歪みが走る。直後、視野は闇に覆われ、体には信じられない重圧がかかった。
*いしのなかにいる*
死の直前、その事実だけ認識してスカーレット、タケルフ、ナルシヴァル、グレッグ、レダ、バイロンの6人の冒険者は岩に同化した。
前回のプレイでこの山脈4階には岩のブロックはないことは知っていたのですっかり油断していましたが、テレポーターの罠で飛ばされるのは同フロアとは限らないようですね。実は、リセット封印プレイを始めてから、初めての*石の中*です。リセットをしていた時代でも一度あったかなかったかぐらいでしょうか。非常に貴重な体験ができたと思います。外伝の仕様では全員の遺体はそのまま寺院に送られるだけなのですが、今回はこの体験を活かして全員消失扱い、と言いたいところですが、やっぱりヌルい私の場合は、悪のパーティーのほうで飛ばされた先であろう山脈3階の全てのマップを埋め、全ての岩ブロックをCALKOで調べつくすことができたら救助できたことにして復活させることにします。
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2009-03-28
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その後、南の洞窟でこの世界を統べる神を名乗る龍を屠ったナルシヴァル達は、ついに洞窟の最深部に安置されていた宝珠を持ち帰り王に献上した。王は、宝珠を受け取るや否や僅かな報酬をナルシヴァル達に下賜すると山頂にある呪いの城に攻め込んだ。城の執事は王の後詰として山脈を登り王を支援するようにと彼らに要請した。そのことをきいたベアトリクス達は、同様に持ち帰った宝珠を王に献上せず彼らの仲間のホークウィントとフォルカスに預けた。彼女達の元々の目的は、王の要求を満たすことではなかったのだ。
「あの人達が先にあの扉の鍵を開けてここまで来てくれたおかげで簡単に来れるようになったねー、ニシシ。」とフェアリー吟遊詩人のキリーが笑った。
「お前がやったときは何十回やっても開かなかったのにな。」後ろを歩くムーク錬金術師のオデッサが言う。
ナルシヴァル達が山脈に向かったのを知り、ベアトリクス達一行も山脈の探索に乗り出した。彼らの目的の1つは、この先に住む強力な魔物たちが隠し持つ武具の数々を手に入れることだった。山の内部にくりぬかれた回廊を歩き、幾度かの戦闘を経た彼女達は、この山脈2階の魔物の手強さに確かな手答えを感じていた。
「では、この玄室の扉を開けます。」先頭を歩く戦乙女のベルリオースが扉に手をかけ持つ長槍を構え直した。一瞬の緊張の後、彼らが扉の向こうに見たものは…
無数の眼だった。夥しい数の眼が明滅を繰り返していた。それも2つずつ揃っている普通の生物の眼ではない。奇怪なスライム状の生物の体の随所に無作為に大小様々な眼が開いたり閉じたりを繰り返していた。
「いかん…ブロブアイだ!逃げろ!」初めて遭遇した魔物だったが、LATUMAPICとベアトリクスが持つ前世の記憶がその魔物の正体を彼女に告げ、今の時点でその魔物と戦うのは危険だと警鐘を鳴らしたのだ。
幸いなことに此方に気がついている様子はない。彼らは急いで玄室の扉を閉めて立ち去ろうとした。しかし…、慌てて逃げ出そうとした彼らが返って魔物の注意をひいてしまったのか、無数の眼が一斉に此方を凝視してきた。もはやそれは一方的な殺戮であった。8体いた魔物が次々に魔法とブレスを放つ。最後まで諦めず逃走を図っていたモホークも力尽き、やがて玄室の床には六つの骸が横たわった…。
数日後、彼らの遺体はナルシヴァル達により寺院に運びこまれ、蘇生の儀式が行われた。しっかりと前回の恩を返したナルシヴァル達は、無事に蘇ったベアトリクス達の信頼を勝ち得、以後二つのグループの協力体制は強まったという。
敵がこちらに気がついていないのに逃走に失敗するってのは酷い話です。五つの試練では、向こうが気がついていない時は確実に逃走できたと思うんですけど。
バイロンがLv14になったらMALORを覚えてくれるだろうと期待していたんですがLv13で覚えたMAWXIWTZとMAHAMANから増えてくれず諦めて強硬救助しました。幸いブロブアイは出ませんでしたが、ナルシヴァルがサッキュバスにドレインを食らい思わずルビーのスリッパを一個消費してしまいました。私、レベル上げのためだけに戦うのが苦痛なもので…。
ちなみにその後ナルシヴァル一行も山脈3階でブロブアイに全滅させられてベアトリクス達に救助されました。前回のプレイではこの後山脈で何十回と全滅させらました。MALORを使える者が一人ずついれば全滅に対して不感症になってしまうのでMALORが使えないうちに全滅を体験できてよかったです。(とか言ってるとさらに大変なことが起こってしまうのですが。)
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2009-03-20
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「あら、先を越されたようですわね。」
ドラコンの司教ベアトリクスは壁にぽっかりと開いた穴を見てそう言った。彼らもまた城の執事の依頼を受けこの洞窟に王に呪いをかけた者を探しにきている冒険者だ。昨日ついに3つ目の金のメダルを手に入れたところだった。
穴の奥にあったエレベーターを利用して各階を調べてまわる。地下3階と地下4階は特に何もなく、最下層の地下6階では鍵穴もなく押してもびくともしない石の扉に行く手を遮られておりそれ以上は進むことはできなかった。結局、先に進めそうなのは「白と黒に別れた部屋」という札のある地下5階のみである。
「なんだ、ここは!」
ラウルフ侍のャストキが叫んだのは、前回、ナルシヴァルたちが遭難した地帯に踏み込んだからだ。一歩ごとに現れるダークゾーンとそのダークゾーンに仕掛けられた回転床。探索者を惑わす罠としてこれ以上のものはそうはないだろう。幸いこのベアトリクス達のパーティーの場合は、Lv1の魔術呪文をであるDUMAPICを唱えることのできる者は、侍のヤストキ、司教のベアトリクス、吟遊詩人のキリーと3人もいたため、完全に道に迷うことはなかった。
先頭を歩いていた戦乙女ベルリオースが皆を制止した。何人かの人影がダークゾーンに囲まれた空間に円陣を組んで座っていた。これは冒険者が迷宮内で安全に休息を取るために行うキャンプという行動であり、魔物がそのようなことをすることはなかった。そのうち何人かは生きているのか死んでいるのか石床に横たわっていた。
「む、お主等は…。」
道に迷い、仲間も倒れ途方に暮れていた戦士達が近づく冒険者に気がついたようだ。そのうち人間の君主が、こちらに声をかけてきた。
「すまない。この忌々しい場所で道に迷ってしまった。仲間も倒れてもはや無事に帰れるあてもない。どうか我々を街まで運んでくれないだろうか。もちろん、相応の報酬もしたいと思う。」
「こいつら、俺達より先にここにいたってことは、ライバルだよな?助ける必要ないんじゃねぇか?」と悪の兜を被ったモホークが後ろを振り返りつつ囁いた。
「お待ち下さい。あの者の目をご覧下さい。あの者を助ければ必ず以後我々にも利益をもたらすに違いありません。」それを制して振り返りもせずに言ったのはベルリオースだった。
しばらく黙っていたこの悪のパーティーのリーダーであるベアトリクスは、やがてこう言った。
「ベルリオース、そなたの見立てを信じましょう。」
普段、街の酒場で出会っても決して同じテーブルに就くことのなかった者たち同士が、ついにこの洞窟の深部にて出会い、お互いに協力することとなった。
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2009-03-06
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「むむ。これは完全に迷ったぞ…。」
ここは、南の洞窟地下5階。今しゃべったのはこの一団のリーダー格であるナルシヴァルという君主だった。
彼らは、依頼を受けてこの南の洞窟に王に呪いをかけた者を探しにきている6人の冒険者だ。3つのメダルを手に入れてエレベーターを発見した彼らは、初めて地下5階のこのエリアに足を踏み入れたところだった。彼らのパーティーでDUMAPICの呪文が使えるのは、魔術師のバイロンだけだったが、新しいエリアの探索ということで宝石の指輪もいくつか用意してきていた。しかし、入り口に*白と黒に別れた部屋*と書かれたこのエリアは一歩ごとにダークゾーンが存在するため見通しが利かずしかもところどころに回転床が仕込まれているために一歩歩くごとに現在地を確認しなければとても探索することができなかった。バイロンのDUMAPICはすぐに尽き、レダとグレッグの持っていた宝石の指輪も壊れてしまった。
闇雲に歩き回ればいつかはこの状況を抜け出せるのではないかと歩きまわっていたが、先ほどメデューサリザードの一群に遭遇し、唯一LOKTOFEITを使える僧侶のグレッグが石化させられてしまったのだ。石化を治療できるMADIが使えるのもグレッグのみとあってはもう緊急脱出の手段もない。特効薬やルビーのスリッパなど事前にできる準備を怠ったせいだと言われればそれまでだが、それらの商品は商店の在庫も限られるため無駄にはできない。
「私がMALORを覚えていればよかったんですけどね。仕方ありません。右手の法則でいきましょう。」とバイロンが言った。
それは、ダンジョン探索の基礎中の基礎ともいえるものだ。彼らも普段から無意識にそれに近い行動はとってはいたが、このエリアに限ってはそれを実行するのもままならないことがわかった。ダークゾーンにおいてはすぐ目の前に存在する壁すら見えないのだ。したがって壁があるかどうかを確かめるにはそちらに向かって進み壁にぶつかってみるしかない。苦労しながら歩き回っていると先頭を歩く野伏のスカーレットが急に立ち止まり無言で合図を送る。魔物の一団の気配を察知したのだ。
全員で息を潜め魔物の様子を伺うと彼らが一度地下6階までエレベーターで降りた際に一度だけ遭遇したレッサーデーモンという悪魔だった。そのときは魔術師のバイロンがMADALTOを浴びて倒れ、勝てないと判断して逃げ出した。今回はこちらが先に気が付いたので今逃げれば安全にやり過ごせるかも知れない。
息を潜めたままゆっくりと後退しようとした彼らだったが、レッサーデーモンはこちらに気が付いてしまった。瞬く間に悪魔は冷気の呪文と火炎の呪文を交互に浴びせかけてきた。
圧倒的な冷気に体力のないレダとバイロンがまず崩れ落ちた。こうなってはもはや勝てる見込みは全くない。とにかく運を天にまかせて逃げ出すだけだ。3度目の逃走でようやく逃げ出せたがスカーレットも絶命していた。生き残っていたのはタケルフとナルシヴァル、そして石化したままだがなんとか死を免れたグレッグだけだった。
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2009-03-01
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