ニックネーム:Takelph
隠居鍛冶屋の旅日記(主にゲームという名の仮想現実内で)

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2010年01月27日(水)
闇の聖典: 魔女の弟子
 聳え立つ岩山の麓に暗く開いた小さな洞窟を前に、戦乙女ベルリオースは身震いを禁じえなかった。この奥で彼女の仲間達は全滅し、彼女だけがその後救助されたのだった。今自分は、後進の者達を従えて仲間の救助に向かっている。彼らは彼女のかつての仲間達と比べればまだまだ見劣りがするが、それなりの実力は備えつつある。運さえよければ仲間の遺体を担ぎ出すことは可能だろう。

 洞窟に入るとすぐ木製の梯子が上層に向かって伸びている。王の親衛隊達がこの岩山の攻略のために設置したものだろうが、その高低差ためにこの山脈の最初の階層は1階ではなく2階と呼ばれていた。梯子を上がると扉がありその扉を抜けると回廊が三方向に続いている。困ったように振り返った野伏フォルカスに、ベルリオースは迷うことなく真っ直ぐ進むよう促した。やや形の歪んだ十字路を経て階層の反対側に到達しそこに存在する扉を開く。そこには更に上層へ向かう昇降機が設置されていた。元からあったものなのか、これも王の親衛隊が設置したものかはわからない。だがこの昇降機の向かう先に凶悪な魔物が待ち構えており、そこに彼女の仲間が倒れていることだけはわかっている。

 昇降機を次の層、山脈3階で降り、彼女達は回廊を慎重に進む。運悪くブロブアイなどの強敵に出会ってしまえば、彼女達の実力では簡単に全滅を喫するだろう。そうなれば、次に控える更に実力の劣るセイバー、ホークウィント、バルバス達に救助を頼むしかない。一瞬の油断はここまで積み上げたものの崩壊を意味した。

 慎重に戦闘を回避しつつ、通路の奥、かつて司教ベアトリクスが一人で踏み込んだ小部屋の前にやってきた。ベルリオース達の悪のパーティーのリーダーであり、かつてこの後進組の育成にも力を貸したベアトリクスこそ最優先で救助すべき者だと判断されたからだ。

 扉を開くと魔物が出現する。もしそれがブロブアイであれば有無を言わさずLOKTOFEITで逃げる必要がある。だがそこで出現したのは5体のバーサーカーと3体のサッキュバスだった。フォルカスとロザリンドがサッキュバスに挑み、ベルリオースがMABARIKOを唱える。ギレットは、CORTUを唱えた。ギレットのCORTUではサッキュバスのMADALTOを殆ど封じることができなかったが幸い1発だけでは誰も死者は出ていない。ベルリオースのMABARIKOが効いてバーサーカーは全滅し、サッキュバスの何体かにも傷を負わせることができた。そこにロザリンドの剣戟が決まりサッキュバスを1体倒した。これによって形勢は決まり戦闘に勝利することができた。

 そして…、変わり果てたベアトリクスの亡骸が部屋の隅に存在した。ベルリオースは自分の着ていた闇夜のマントを脱いで遺体を覆い隠し丁寧に包んだ。彼女の目配せにフォルカスがそれを背中に担ぎ上げる。

「さぁ、あと一人連れ帰りますわよ。」

 次の小部屋では魔物は出現しなかった。そして残された4人の遺体が見つかった。幸い誰の遺体も失われずに済んだようだ。ベアトリクスの次に誰を優先的に連れ帰るか少し逡巡したベルリオースだったが、やがて指し示したのは吟遊詩人キリーのものだった。今度はロザリンドが自らのマントでキリーを包み背負う。ベルリオースの無意識下で何か予感がそうさせたのだろうが、このときはまだその意味を十分には理解していなかった。

 無事に二人の遺体をダリア城下に連れ帰り、寺院で蘇生を依頼したところ見事に二人とも復活することができた。ベアトリクスは事態を瞬時に理解して済まなそうに顔を背けた。逆にキリーは、自分が何故そこにいるのか理解できていなかった。

「あれ?アタシなんでここに…。」

 蘇生直後で衰えたベアトリクスとキリーの体力をMADIで回復させ彼女らを宿で休ませるとキリーのレベルが一つ上昇した。キリーは呪文書を確認して喜び勇んで師匠のベアトリクスに報告をした。

「ニシシ、ねーベア、私ついに魔術師の最高レベルの呪文覚えたよ!」

 ベアトリクスは、司教である自分より成長の早い弟子の呪文書を覗きこんでみたところそこには、MALORの呪文が記されていた。

「お手柄だよ、キリー。」

 滅多なことでは弟子を褒めなかった師が、ここ一番に弟子を褒め抱きしめた。




 すいません。年明け早々から子供のインフルエンザを貰って寝込んでしまいました。全滅につぐ全滅で苦しんだ外伝IIIのプレイ日記も漸くここまできました。あとはトントン拍子にいくはずと思いきや結構この後も苦労しますが、そこはあまり詳しくは述べずにそろそろこのプレイ日記も完結させたいと思います。
2010-01-27 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| Wizardry: Scripture of the Dark |
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2010年01月09日(土)
Twitter
 五つの試練公式掲示板に面白い記事が載っていました。
 五つの試練のプレイログを鳩山首相も始めたと話題のTwitterに流すことができる実験的バージョンを五つの試練を開発した有限会社59が公開するというのです。
 早速ダウンロードして使ってみましたよ。→こちら

 使ってみた感想ですが、現バージョンでは、記録される内容が簡素すぎて状況があまりよくわからない、とか文字化けしてしまう文字が散見される(カタカナの「ミ」とか)というような不満点はありますが、プレイ記録をつける時間も惜しいプレイヤーにとってこのような機能を持たせることができるということ自体は大きな朗報ではないでしょうか。
 またTwitterでいきなり公開されてしまうというのもそのようなことを望まないプレイヤーにとってはどうかと思います。まぁプレイ記録を公開することを前提にしている人にとっては、プレイするだけで公開までやってくれて手間いらずという考え方もありますが。
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| Wizardry: Five Ordeals |
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2010年01月06日(水)
新年の御挨拶
 極少数の知り合い以外誰からも顧みられることがないことをいいことに、自己満足のためだけに細々と続けてきたこのブログIron Pickaxeですが、昨年はWizardryというゲームのプレイを通じて素晴らしい方々とお近づきになることができました。そして、読者がいる以上単なる自己満足に終わってはならないということを改めて感じさせられた一年でもありました。
 そして年賀状まで頂いてしまう始末です。HP管理人としてこのようなものを頂くのは随分久しぶりです。折角ですので御紹介させて頂きます。

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2010年01月02日(土)
闇の聖典: 課せられた試練
 南の洞窟地下6階ともなるとそこそこ珍しいアイテムが手に入る。得たアイテムを司教ランディスが鑑定をしてくれるお陰で徐々に蘇生費用が貯まっていった。司教ギレットが蘇生された後は、鑑定はよりレベルの高いギレットの役割となった。
 ようやく蘇生費が貯まって戦乙女ベルリオースが蘇生されると第三パーティーの力は飛躍的に上昇した。全ての僧侶呪文を使いこなし、繰り出す長槍の一撃は、南の洞窟の殆どの敵を一撃で葬りさる。そんなベルリオースは、同じ戦乙女であるロザリンドにとって父母に次ぐ目標となった。

「あなた達が充分に力をつけたと判断できたら、私の仲間達を救助するために山脈に向かいましょう。」と、そのベルリオースが言った。

 ベルリオースの課した試練は、ベルリオースを除き、戦士セイバー、野伏フォルカス、戦乙女ロザリンド、盗賊ホークウィント、司教ギレットの5名で南の洞窟から宝珠を持ち帰ることであった。実際問題としては特に困難な課題という訳でもない。迷宮の主の鱗を入手している現在、運さえ良ければ全く敵と戦うことなく達成できる課題である。だが、全く無事というわけにはいかない。5人が、あと数歩で宝珠の安置された玄室まで辿り着ける位置まで来たときだった。

「蟹!2匹!」

 先頭を歩いていたフォルカスが叫ぶ。最も遭遇したくない魔物、ジャイアントクラブに遭遇してしまったのだ。幸い数は2匹と少ないが侮ることはできない。ベルリオースの居ない今、確実にダメージを与えるにはMORLIS(敵1グループのACを4上昇させ、また行動を止める)の重ねがけが必要だ。ギレットとフォルカスがMORLISとMAPOBA(敵1グループのACを2上昇させ、パーティ全員のACを2低下させる)を唱える。ロザリンドはBAMATU(パーティ全員のACを3低下させる)を唱える。だが次の瞬間、蟹は仲間を呼び、4匹に増えていた。続いてロザリンドたちは攻撃に転じたが、硬い甲羅は殆ど攻撃を受け付けない。逆にセイバーが重症を負わされ、蟹はさらに仲間を呼んで7匹に増えていた。

「ロザリンド、これは無理よっ。逃げましょう!」

 母ギレットの言葉に、呆然となりかけていたロザリンドは我に返った。逃走か応戦かの決断を迫られている今、立ち尽くしている場合ではなかった。逃走に成功すれば、この難敵を避けることができるが、失敗すれば敵に晒した背後からまともに攻撃を受ける。その巨大な鋏は一瞬の判断を誤れば、パーティーを壊滅させるだろう。

 幸運にもロザリンド達は無事に逃げ切ることに成功し、宝珠の安置された玄室まで辿り着くことができた。この宝珠奪取のカラクリについては既にギレットは、夫ナルシヴァルから聞かされていたため、その後宝珠を持ち帰ることについては問題なかった。

 宝珠を持ち帰りベルリオースの課した試練に合格した彼らは、いよいよ山脈で全滅したベルリオースの所属していた悪パーティー、そしてナルシヴァル率いる善パーティーの救助に向かうことになった。ベルリオースが発表した救助隊のメンバーは、前衛、フォルカス、ベルリオース、ロザリンド。後衛、ギレットだった。一度に2人は救助する為の4人での編成だ。

「いいですか、山脈の敵はこれまでの敵とは違います。特にブロブアイなどは、倒そうなどと思ってはいけません。あくまでも自分達の命が最優先。その次が救助です。」と、ベルリオースが念を押す。

 その言葉に耳を傾けながら、奮い立つ気持ちを押さえたロザリンドは、そびえ立つ山脈を見上げて父の救助を誓ったのだった。


 素晴らしい画才をお持ちの死屍累々の管理人、高坂様が、中々更新が進まない私を励まして下さるためにロザリンドの絵を描いてくださいました。勿体ないことです。家宝にします。大分前に頂いたのに掲載が遅くなって本当に申し訳ありません。
2010-01-02 | 記事へ | コメント(4) | トラックバック(0) |
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